住宅ジャ−ナル2006年9月号 |
プレカット加工機の納入実績500台目前 宮川工機 〔合板加工機/M2D−11〕 合板加工機 MPD-11 全自動ブルカット機械メーカーの宮川工機(愛知県豊橋市、宮川嘉朗社長) は、木造在来軸観工法による構造材加工において機械プレカットの先陣として取り組み、住宅・工務店におけるプレカット材の普及率を80%に向上。同社構造用プレカット加工機の納入実頼も500台(ライン) に達している。 構造材加工機MPS−V8Wをはじめ、金物工法対応構造材加工機MPS−V8W、金物工法用加工機MPE−11/21、羽柄材加工機MPC−13など、あらゆる部材に対応し、ニーズに合わせた自由な組み合わせが可能。ユーザー独自のプレカットシステムの構築ができるフルラインナップを誇る。また、これを支援する宮川プレカットCADシステム (MP−CAD2000) により大きく進化し、コスト競争力、高品質の加工精度を掟供している。また、多関節ロボットの採用で従来のプレカット加工ではできない複雑な仕口加工を実現。高精度・高能率の多彩な加工形状を手加工なしでできる多種加工機MPS−54も登場。生産性の向上に役立っている。 品確法の施行以降、構造性能競争が激化、住宅構造の安定化や壁倍率・床倍率での合板張り工法が大幅に採り入れられた。また耐震用金物工法の増加に伴い、次世代への木造住宅の耐久性・耐震性を引き出す床・壁・屋根などの合板、パネル加工を施す構造用面材による高品質化が進んだ。いち早く開発を手掛けた合板加工機「MPD−11」は全国のプレカット工場に70台強を出荷。今年は更に月2台の受注ベースにより、その普及が急速に進みつつある状況に変化している。順調に推移すれば、年間24台以上の販売を見込み、住宅の合板加工機によるパネル化はより進展する勢いをみせている。 宮川工機 TEL(0532)31−1251 |
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2面傾斜切断が可能 飯田工業 パネル加工機 /PTC−1230NC PTC-1230NC 木工機械メーカーの飯田工業(愛知県小牧市大字村中、井本希孝社長)は、パネルカットを極めた最強マシンを開発。木造住宅の金具工法の増加と、面材プレカットの進展から今後ますますパネル材加工の生産性が高まりつつある市場に向けて、「パネル加工機PTC−」230NC」の機種名で新登場させた。 これによって、パネル切断作業への合理化を提案し、最先端技術を融合。パネル切断加CAD/CAMパネルカットシステムに対応。住宅の床材、壁材及び屋根材などの鋸による直線切断とルータによる輪郭切断、インクジェットによる印字を実現した。 丸鋸加工では、直線切断、鋸軸の旋回による角度切断、軸を傾斜した角度傾斜切断、従来の機械で不可能とされた2面傾斜切断を可能にした。 また、ルータ加工は、切り抜き加工、切り欠き加工、座ぐり加工と、インクジェットによる印字ができる。加工寸法が長さ1800〜3000mm、幅900〜1200mm、厚み9〜85mmにより、住宅の床・壁・屋根パネル加工の他、ドアパネル加工にも使用できるタイプとなつているため、プレカット工場以外、2×4住宅部材、住宅機器・フロア材・壁材、ドアパネル加工の製造メーカーでの生産向上、ライン工程の最適化に欠かせない新しい加工機械設備として普及を目指し、パネル加工機の販売強化を図る。 飯田工業 TEL 0568−75−5321 丸仲裁工所 |
プレカットをもっと便利に、高効率に 丸仲鐡工所 〔登り梁加工機NBC-134D 全自動打ち込み機 DPT-15N〕 DPT-15N NBC-134D 住宅建築材加工の高度化に早くから取り組んできた滑ロ仲鐡工所(望月清史社長) は金物工法用プレカットラインのほか、パネル加工、羽柄材加工など関連する部材の加工用を含めて、多彩な加工設備をラインアップしている。代表的な機種としては、床パネル(構造用パネル) の専用加工機FPC−200W、金具接合工法用の登り梁加工機NBC−134D、金具用ドリフトピンの全自動打ち込み機DPT−15Nがある。いずれも木造住宅用プレカットラインの加工精度を高め、生産性を向上する独自の技術を盛り込み、もっと便利に、高能率なプレカット生産にするのが特徴。長年にわたってプレカット加工設備の開発を手がけてきた同社のノウハウが「カユいところに手が届く製品」として結晶化した。 このうち、NBC−134Dは勾配、材幅、材高、金具の種類などの加工データをタッチ式パネルスイッチにあらかじめ登録しておくと加工パターンを呼び出すだけで金具工法の登り梁加工が簡単に行える。プロ職人の墨付け、手加工に頼っていた複雑な登り梁加工が、これ一台で正確に加工でき、隅木・谷木の加工も行えるので、作業効率も飛躍的に向上する。おもな仕様の一例は次の通り。 ▽材幅=90〜135mm ▽材高=105〜390mm ▽屋根勾配=0・1〜10寸勾配 ▽加工内容=登り梁の端部加工 (平行型、材高390mm加工可能)、水平梁の端部加工 (材高390mm加工可能) ▽機械の各軸構成=丸鋸軸(7・5kW)、カッター軸(7・5kW)、ドリル軸(2・5kW)、傾斜軸、(3・7kW) ▽機械寸法=幅2800×奥行き2200×高さ2700mm また、DPT−15Nは、ドリフトピンを全自動ライン上で自動打ち込みする設備。金物データにもとづき自動で作業を行うので、打ち忘れが発生せず、また、作業者の労働を軽減する。ピンは予備バケットも含め800本投入できる。 丸仲鐡工所 TEL O54ー259ー8111 |
多様化する住宅生産を最新技術で支える 平安コーポレーション 〔スーパーマルチロボットFZ−30〕 FZ‐30 都田システム研究所への全セクション集結を通して生産力を増強する兜ス安コーポレーション(静岡県浜於市、鈴木通友社長) は、柱材・横架材の主要構造材から羽柄材・パネル材まで木造住宅用構造材のプレカット生産をトータルにサポートする幅広い機械設備をラインアップ。多様化する木造住宅用加工設備のニーズに応える最新技術を提供している。その中でも居住空間や住宅工法の多様化に対応し、構造材の加工品質を高め、生産の高速化・高効率化を実現すると評価の高い代表機種が、スーパーマルチロボットFZ−30と横架材加工ラインAZFシリーズ。 このうち、スーパーマルチロボットFZ−30は、古来の複雑な構造をもつ多角形建造物の木材加工を完全自動化することに成功した5軸制御切削システム。さまざまな形状の構造材でも高い精度と生産性を確保する。従来の横架材プレカットラインでは加工できなかった登り梁、斜め梁、合掌、ケラバ、追掛継手、台持継手など特殊形状の加工、また、金具工法材の加工にも容易に対応する (オプションで、下地材加工にも対応)。加工材料(横架材)は幅90〜15ノOm、高さ90450mm、長さ750〜6400mm。主軸のおもな仕様は次の通り。 ▽電動機=7・5kW▽回転数=1000〜18000−pm ∇軸端=NT40▽ストックできる工具数=14本 また、AZFシリーズは側面加工機が軸直列タイプの横架材加工ライン。無駄な動作を排除することで精度・能力の向上を実現する。平安コーポレーションは、高い生産性が求められる木造住宅の多様な加工ニーズに合せたライン構築を可能にし、住宅文化を支えるプレカット加工の最新技術を開発、提供している。 平安コーポレーション 丁EL O53−4411−3311 |
地域ビルダーからみる面材完全プレカット化への流れ ハセベ 木造住宅でのプレカットの普及は、構造材の全自動プレカット化からはじまった。最近では床合板のプレカット化が一般化してきた。また屋根野地合板のプレカット化も進行しており、住宅建築での面材のプレカット化率が屋根もパネル化すれば、合理化も大いに進む(ハセベの屋根施工現場)益々高くなつている。そんな中で、様々な理由から難しいといわれていた垂直面のプレカット化を積極的に進め、新しい現場施工のスタイルと現場環境対策を目指そうというビルダーが登場している。小誌の前号で紹介した東京・西日暮里の潟nセベだ。同社は、自社のパネル工法であるプラスワン工法で木造3階建住宅を展開、地域に年間250棟を供給する企業だ。 同社の面材プレカットへの取り組みは、まずパネル工法からスタート。さらに難しいといわれる屋根野地についてもパネル化を進めてきた。そのため自社でパネルCADを開発。躯体精度が悪いと3階建の上階ではパネルが入らなくなるため。同社ではいかに躯体精度を上げるかをテーマに改良を重ねてきた。そのメリットを享受したのが、垂直面での面材のプレカットだ。 同社のサイディングのプレカット化は、現場採寸なしで工場でプレカットして現場で取り付けるというもの。現在取り組んでいるビルダーでも現場切削が必要であり中途半端なプレカットが多い。同社では構造材と同じように、図面だけを元にプレカットし現場で取付けられる。いわば完全プレカット化面材である。これによりサイディングの歩留まりを85%から92%へと7ポイントもアップ。また現場施工もサイディングの留め付け手間が従来の10人工から4人工で済むようになり、工期も4日間短縮するなど大幅な省力化を実現した。 不可能といわれた壁面を完全プレカット化できたのは、単に構造躯体の精度が飛びぬけてアップしたからだけではない。現場に持ち込んだプレカットしたサイディングをそのまま取付けられるようにする現場施工の標準化やシステム化が必要だった。同社では現場対応で決められていた処理などを詳しく調査し、収まりや施工手順をルール化。外壁回りの開口部の位置、寸法が明確になるよう、設計段階からシステム化した。ポイントとなつたのは、サッシの取付け位置で、これまでは現場の大工の指示で調整されていた位置の確定を事前に図面に落としこめるように、位置確定方法をルール化した。 また、工場でプレカット化できるようになったことは、現場の環境向上に大いに役立った。同社では歩留り向上や省力化よりも、むしろこちらのほうのメリットが大きいという。面材を現場切削する場合、広い作業スペースが必要であり、切削時の騒音、粉塵対策が問題だった。プレカット化するとそれらの問題が一挙に解決できる。同社は特に都市部の狭小地での工事が多く近隣が密集している。まわりに迷惑をかけないような工事環境が今後益々求められるようになっているのだ。面材プレカット化志向は、そうした現場の環境問題への対応である。 同社では、今回のサイディングのプレカット化を今後全株で実施していく。また石膏ボード、フローリングなどの面材についてもプレカット化のほか、施工手間のかかる3階建の曲階段について完全プレカット化で、現在2人工かかっている工事を半分にする考えだ。サイディングのプレカット化では、既存のサイディング業者を使わないで済むよう、グループ内での施工を含めた内製化を進めている。今後はこうしたプレカット・配送・施工までのトータルなプレカットサイディングとして、積極的に地域の工務店・ビルダーなどの外注も受けていく計画だ。 ハセベ TEL 03−3802−8722 |
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