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住宅ジャーナル Daily News |
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2022/11
第60回技能五輪全国大会を開催 / 厚生労働省、中央職業能力開発協会
http://www.lli-publishing.com/daily/daily_2023_1_7.html
2024/3/2
九州地方をメイン会場に第32回技能グランプリを開催
【PDF版】
厚生労働省、中央職業能力開発協会、一般社団法人全国技能士会連合会の主催による第32回技能グランプリが2月23日から26日までの4日間、福岡県北九州市小倉北区の西日本総合展示場をメイン会場として開催された。九州地方をメイン会場とすることは今回が初となる。
技能グランプリは特級、一級及び単一等級技能士の一層の技能向上を図ると共に、その地位の向上と技能尊重気運の醸成に資することを目的とし、原則として隔年で開催されている。出場資格は技能検定の特級、一級または単一等級の技能士であること、都道府県職業能力開発協会の会長または都道府県技能士会連合会の会長から中央協会会長に推薦された者であること、過去の大会において同一職種で優勝した経験のない者であることなどとなっている。競技職種は30種類。建築大工、家具、建具といた木材加工系の職種は西日本総合展示場を会場として競技が行われた。
建築大工職種
建築大工職種には38名が出場。課題は「柱建て六角堂小屋組」。建築大工の伝統技法である柱内転び技法を用いた課題となっている。各々の転び柱に正六角形を基本とした桁に桁組を架け、六角堂の中央に六角真柱を建て、脚部を貫とつなぎで固定。六角真柱から各桁の交点へ隅木を取り付け、垂木、茅負を取付けて全体を完成させる。転び柱、貫、桁が複雑に絡み合う難易度の高い課題が採用された。
支給材料は米栂の上小節。断面寸法は仕上がり寸法よりも1・5㎜程度増しており、全ての部材に丁寧な鉋掛けをしなければならない。競技時間は初日と2日目の合計で12時間。作業手順は最初に現寸図を作成し、部材の木削り、墨付け、加工仕上げ、組み立ての順。このうち現寸図と墨付けは作業終了の段階で提出検査を受ける。全ての作業が手作業であるため、出場選手は胴付き鋸や鉋といった手道具を短時間かつ正確に扱わなければならず、木材加工における高い技術力が要求される。
採点基準は現寸図の寸法精度が18点、各部材の墨付けの寸法精度が32点、作品の部材の寸法精度が15点、作品の各部材接合部の精度が14点、作品全体の出来栄えが21点で合計が100点。各項目の完成度に加え、作業態度や仕様誤りなどがマイナス考慮される。建築大工職種の得点分布では、80点以上90点未満が16名と最も多く、次いで70点以上80点未満の7名であり、全体を通じてハイレベルな競技内容だったことが窺える。建築大工競技の結果は次の通り（カッコ内は出身自治体及び所属事業所・敬称略）。
金賞（厚生労働大臣賞）：加藤恵吾（愛知県・加藤建技）
銀賞：角田脩一（埼玉県・家の巧㈱）、小山大輔（広島県・小山建設）、高田慎太朗（東京都・愉創大工）
銅賞：今野翼（群馬県・今野建設）、政木稔（広島県・橋本建設㈱）原田宗広（静岡県・㈱平成建設）
敢闘賞：小里淳（茨城県・小里建設）、三浦伸晃（東京都・㈲藤森工務店）、山岸翔（新潟県・一般社団法人新潟県建築組合連合会）、猿田大輔（秋田県・猿田建築）、成松功教（三重県・奏匠舎㈱）、大崎則治（千葉県・ポラスハウジング千葉㈱）
家具職種
家具職種の課題は框組みの扉がある脚付きの木製収納。箱部、脚部、引き出し部から成る収納家具であり、家具製作の加工要素を抑えた課題となっている。箱部の扉は框組みの観音開き。扉の框組みは面腰、小根付き二方胴付きホゾ組みが指定され、面腰の加工は手加工となっている。脚と地板は寄せ蟻で接合。加工については事前に作った治具を使用しても良いとされている。箱部に収める引き出しの前板と側板は包み蟻5枚組接ぎ、引き出しの側板と先板は5枚組接ぎとし、これは全て手加工で作業する。全般的に手加工の部分が多く、作業における時間配分も競技の大きな要素となっている。
家具競技の出場者は9名。山形県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、兵庫県、福岡県、宮崎県、鹿児島県から各1名が参加。競技時間は2日間合計で標準時間11時間30分、打ち切り12時間の設定。会場内には横切り丸鋸盤、昇降丸鋸盤、軸傾斜丸鋸盤、電動トリマ、電動ルータ、角鑿盤、電気ドライバーが用意され、交代で使用できるが、加工可能な部材は厳密に制限されている。箱部、引き出し部、扉については、加工の完了後（本組直前）の検査を受けた後、接着して組み立てをする。
家具職種の得点分布を見ると、80点以上90点未満が1名、70点以上80点未満が5名、60点以上70点未満が1名といった状況であり、総じて高得点での争いだった。出場選手の中には他の職種で金賞を受賞した経験を持つ者もおり、高度な木工加工の技術を競い合った。家具競技の結果は次の通り（カッコ内は出身自治体及び所属事業所・敬称略）。
金賞（厚生労働大臣賞）：新妻諭（東京都・清水建設㈱）
銀賞：川口博敬（愛知県・川口木工所）、藤野祐（兵庫県・㈱三上工作所）、山田健司（千葉県・㈱森下）
銅賞：該当者なし
敢闘賞：該当者なし
建具職種
建具職種の課題は米ヒバを材料とした衝立。幅１１００㎜、高さ９７０㎜の衝立であり、中央に幅４８０㎜、高さ５３８㎜の自由課題を組み入れる。自由課題は型板や治具を持参して使用しても良いが、製作は電動工具を使用せず、全て手加工で対応することが条件とされている。実質的な競技は2月24日と25日の2日間で行われ、初日が7時間、2日目が5時間の合計12時間内で課題の製作に取り組む。会場内には昇降盤や角鑿盤が設置され、出場選手は共同で使用する。機械作業のホゾ穴は框周り、兜巾桟、土居とし、ホゾは框、上桟、中桟、下桟、兜巾桟、足と土居の相欠き及び足の下場シャクリまでに定められている。採点基準は寸法精度35点、加工中採点15点、規定課題20点、自由課題25点、作業態度5点の合計１００点であり、減点法で採点される。
建具競技の出場者は7名。北海道、福島県、千葉県、神奈川県、長野県、滋賀県、福岡県から各1名が出場。今回は課題に自由課題が採択された関係上、出場選手は組子、付子、兜巾桟といった加工の他、いかに自分の裁量で自由課題部分を表現するかが競技のポイントになる。自由課題に組子細工を選択する選手も多く、技巧を凝らした絵画的なデザインを時間と格闘しながら製作する選手も見受けられる。自由課題に使用する材料は出場選手が持参するため、どのように表現するかは選手自身が製作時間や難易度を勘案しつつ、デザインや使用する材を選択する。競技時間の12時間以内に自由課題も含めた全ての課題の完成が求められ、出場選手は課題製作の時間配分や作業手順を充分に考察する必要がある。
建具職種の得点分布を見ると、90点以上が3名、60点以上70点未満が1名、未完成が3名だった。建具競技の結果は次の通り（カッコ内は出身自治体及び所属事業所・敬称略）。
金賞（厚生労働大臣賞）：大槻稔（長野県・大槻木工所）
銀賞：木下保（北海道・㈲木下建具工芸）、野口正男（神奈川県・㈲野口建具店）
銅賞：該当者なし
敢闘賞：該当者なし
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【詳細は住宅ジャーナル ウッドテクノロジー2023年3月号記事（2月15日発売号）
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